冬のレクリエーション大会は大きな事故もなく和やかに進行し、最後のプログラムを残すのみとなった。今年度から取り入れられることとなった町対抗のおしくらまんじゅうである。
「では、いよいよ男性の部を始めます。各町ごとに代表の方を選出してください。力自慢ならぬ尻自慢の男たちによる死闘です。」
場内の穏やかな笑いが収まらないうちに体育館の中央へと進み出てきた男性陣の中に予定どおり牛島さんが居た。
「俺、いつもは審判なんだけどなあ。ははは。」
そうふてくされてはいるもののまんざらでもなさそうな60代半ばの大男は、町内で子どもたちに剣道を教える有段者だ。90kgほどありそうな堂々とした体つきは毛玉の目立つジャージに脂肪と筋肉のラインをぱんぱんに浮かび上がらせている。彼が袴を身に着けたとしても剣士というより柔道家に見えてしまうだろう。
私は予定どおり「あんこ役」を買って出ると、綿のたくさん入ったぬいぐるみを着て円陣の真ん中に入った。もちろん、衝突の際に痛くないように、という配慮は表向きのことだ。
牛島さんが出場したことで観客の間には彼の住む町は負けないはずだという空気が生まれた。背が高い牛島さんはそれさえまんざらでもなさそうにふてくされながら受け流し、いっちょいいところを見せてやるかといったいやらしい目つきで集まった同年代の婦人たちを見回している。
その自信たっぷりで偉そうな四角い顎が憎たらしい。だから、私は彼のどっしりと大きくせり出した尻の真後ろに位置を決めた。
「いいですか、あんこを出してしまった人が敗者です。用意!スタート!」
男たちが一斉に真ん中に向かって尻を突き出し、尻自慢の死闘が始まった。
「おしくらまんじゅう!押されて、あっ!」
牛島さんの驚きの声は、掛け声と応援にかき消された。突き出された牛のように大きな尻を抱き留め、ジャージのズボンを引っ張ってトランクスのゴムを下げると、毛むくじゃらの割れ目を無理矢理開く。
湿り気の高いケツ毛の奥でぬるぬるしているいかにも臭そうな尻の穴に、ぬいぐるみの内側に隠し持っていた親父の大便採取用器具の先をぶち込んだ。
警察官を引退して青少年の指導に努める60代剣道家の体内にはどんな臭いカレーライスが詰まっているのか。じゅうぅぅっとポンプを押す。尻自慢の男による、あんこが出るかウンコが出るかの死闘が始まった。
ぼぶうぅぅっ!
60度に熱した悪魔の浣腸液に刺激されて、いきなりでかい屁が出た。声を張り上げているから誰にも聞こえずに済んでいるが、器具の先がうるさく震えるくらいのかなりの爆音だ。
「あんまり押すと!あんこが出るぞ!」
ぶりゅぶりゅぶりゅっ!びちびちびちびちびちっ!牛島さんは大声で歌いながらあんこではなく下痢糞を漏らした。手の中の袋が早速温かくなる。
ぶびびっ!びぶぶびちびちびちびちびちびちっ!ぶじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅっ!突き出した尻からまたも豪快に下痢が吹き出す。
尻を突き出すたびに踏ん張ってしまっているのだ。押し合いの最中で両足とも力を入れざるを得ない牛島さん。結構漏れたな、ははは。
「あんこが出たら!つまんでなめろ!」
牛島さんの尻の穴を触った手の匂いを嗅ぐ。ぷーんと臭い、湿った汗臭の中に牛糞のような濃厚で家畜臭い匂いがする。60代のガチムチ親父の尻の臭さに鼻をつまんで、その指をなめた。うーん、しっかり苦い。
ぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるるるるる。こらえる暇もなく肛門手前の下痢を出し切った牛島さんの太い腸内から、今度は何か大きな物が遥か奥から下ってくる激しい運動音がイヤホンに届いた。
牛島さんはあまりに急激すぎる便意に歌うこともできなくなり、ゴマ塩頭のウナジにじっとりと脂汗を浮かべて尻を振り続けている。両側の男にがっちりと腕を組まれ、戦いの場から逃げ出すこともできない。
「おしくらまんじゅう!押されて泣く、うぅぅっ!」
リズムに合わせて器具の先をぐいと突き込むと、剣道の達人が押されて泣いた。
添えていた手の下で、毛だらけの尻の穴がぐぐぐうっと力いっぱい盛り上がる。間髪を入れず器具をぐいぐいと揺さぶってやると、これまでのどの親父たちよりも早く、牛島さんは決壊した。
「あんまり押すと!ウンコが!出るうぅぅっ!」
ぼぶぶっ!むりりりっ!むりっむりっめりめりめりっ!…ぼと。
ぶりりりめりりりっ!もりっもりもりっもりっめりめりっ!…ぼと。
尻穴が開いては閉じてを繰り返し、牛島さんは立て続けにウンコの塊を二つ出した。どちらもごろんと丸く、よく蒸かしたまんじゅうのような温かい芋色の糞だ。
力自慢の大男の尻の異変に参加者が気づくことはなく、おしくらまんじゅうの歌はそれから3回歌われた。
テニスでもバレーボールでも必ず審判にしゃしゃり出てきて常に威張っている目つきの悪い親父が、投げやりにも聞こえる大声で歌を歌いながらなんとか尻を動かすのだが、漏らすまいとしているのか全くの屁っぴり腰だ。
私はそうした彼の自信のなさを叱るようにでかい尻を手元に抱き寄せ、押し合う男たちの力を利用して器具の先で腸をかき回した。そのたびに牛島さんは下品な屁をひりながらぼとぼとと袋の中に硬いまんじゅうを押し出した。
「あんまり押すと!あんこが出るぞ!」
びぶぶっ!むりむりっ!めりめりっむりむりむりっ!…ぼと。
「あんまり押すと!あんこが出るぞ!」
ぶりりりぶりっ!めりめりっもりっもりもりっ!もりっもりっめりめりめりっ!…ぼと。
「あんまり押すと!ウンコが出るぞ!」
ぶぼぼぼっ!もりっもりもりもりっめりめりむりむりっめりめりめりもりもりっ!…ぼと。
どさくさに紛れて私まで声に出して歌ったら、最後の塊はなかなか大きかった。親父の広い背中から暑苦しい脂汗の匂いがしてくる。
「あんこが出たら!つまんでなめろ!」
ぶくぶく、ぶくぶくぶく。無事にウンコが出たので、ポンプを2度押して牛島さんの尻の中に手早く空気を送り込む。すると、普段は何事にも動じない彼が「うっ!」と叫んでぴたりと動きを止めた。
とたんにあちこちの尻から圧力を受けて私は器具ごと牛島さんの尻に体当たりすることとなる。それで決着した。
…びぶぶじゅうぅぅぅぅっ!びぶぶびちびちっ!ばぽんっ!!
成り行きですっぽ抜けてしまった大便採取用器具のそばで、固く踏ん張ったデカ尻が汚すぎる爆音を立てながら霧混じりの屁を噴射した。そのうえ、熱い下痢をトランクスの内側に吹き上げると、なんと、まるで豆鉄砲のようなすごい勢いで小粒の糞が下痢ヌメの穴まんじゅうから飛び出してきた。
その発砲音はやたらと大きく、さすがに気づいた参加者と観客が牛島さんを見る。
発射されたウンコ弾をつまみ取ることはできずに、私と牛島さんは円陣から転がり出た。あんこもウンコも出してしまったため、牛島さんは敗者になった。
周りに見られる前に器具はぬいぐるみに仕舞ったが、くの字に倒れた牛島さんの腰からは白いシャツが少し出ている。
私は降りかかった下痢を清めるために急いで指をしゃぶった。舌にきつい苦みが広がり、まとめて入れた指の先から腹まで2周ほどなめていくと口の中は親父の臭い最後っ下痢でべっとりとけがれてしまった。
予想もしなかった結末に皆が不思議がる中、起き上がった牛島さんは脱兎のごとく体育館の外に走っていった。こらえきれない恥辱感に四角い顎をぎゅっと噛みしめて。閉会式には出ないと司会者に伝えてから、私も後を追う。
閉会式ではおしくらまんじゅうに勝った子どもの部・女性の部・男性の部の面々が牛島さんのお漏らし現場に集まって並び、60代の男の糞の残り香を嗅ぎながら実行委員長の挨拶を聞くだろう。女子供も分け隔てなく、立派な親父剣士が今さっき人前でウンコを漏らしたことなど分からないまま「なんとなくウンコ臭い。」と感じるのである。
その奇妙な様子を想像してにやつきつつ、体育館脇のトイレの前でぬいぐるみを脱いでからそっとドアを押した。