今朝も通勤通学の電車は激混みだ。都心の乗り換え駅らしい、と言えば、らしいのだが。
「土肥さん、さあ乗りましょうか。4月で新生活の人が増えたからさらに混んできましたね。それでも、この時間帯がいいっておっしゃるのは土肥さんですけど。」
スーツに身を固めた中背の狸紳士は、卵頭をうんうんと縦に動かして俺からの事実確認を肯定する。今朝も加齢臭とポマードのよく混ざり合ったいい匂いがしてるぜ。
「だってさ、…座っていったら遊びができないじゃないの。」
駅員のアナウンスがうるさいから周囲をあまり気にかける必要はない、と言えば、ない。にしたって土肥さんは元々声がとてもよく通るからもう少し落としたほうがいいかもな。「遊びって?」と不思議に思う人が居てもおかしくない。
が、土肥さんが特に人の耳を気にかける様子はなかった。この人が声の音量に無頓着でいるのはいつものことだけど。
「なあに黙ってるんだよ勝呂くん。」
親父さんが明るい声で横からいたずらっぽく俺の顔をのぞき込み、そして耳元に口を寄せて少しだけ音量を落とした中低音の渋い声で言った。
「今日もすげえ電気流してくれるんだろ?毎日じゃないとおじさん、欲求不満になっちゃうんだからな?」
もう息が熱い。そんなに欲しけりゃ終点の田舎駅までケツん中電気漬けにしてやろうか?と言いたくもなるが、こんなに積極的な土肥さんが俺は好きだ。土肥さんは俺の腰に手を回して二人がはぐれないように乗車口へと向かった。
乗り込むと土肥さんはさっさとドア横のスペースに向かい、結構強引な目力で角を取った。自分がそこに収まると、俺をそのすぐ隣に立たせた。
「なんとか確保できたぜ。混みすぎるのも大変だ。」
明るく言うけど、正面にカバンを抱えて手すり側に出来た壁とケツとの隙間を完全にがら空きにしている。俺がいつ手を出してもいいようにぴたりと体を硬直させた。
…仕方のない親父さんだなあ。混んでほしいのか混まないでほしいのか。カバンに目を落としてじっとしている土肥二郎さんの顔はいっさい見ずに、手だけでスーツズボンをまさぐって姿勢のよい背中側からトランクスの中に右手を入れた。
そう、土肥二郎は電車がどうなってほしいかなんてどうでもよくて、欲しいのは電気なんだ。ケツの穴の中に、はっきり言えば現在開発真っ最中の老いた前立腺に強制オーガズムの電気が欲しいのだ。
言っておくが、俺が妄想でこう断言してるんじゃない。還暦親父の土肥二郎の口から何度も何度も何度も聞いてて断言してるだけだ。
ほら、ケツの穴べっとべとだ。俺がなるべくウンコを拭き取らないでいるようにとリクエストしてからはずっと土肥はケツの手入れを怠っている。
「かゆいですか?」
「うん…。右側のへりのとこがね。」
照れ笑いをこらえつつ年上親父がちゃんと答える。リクエストするまでもなく、初めて触ったときから土肥の穴は手入れが行き届いておらず糞カスでぬるぬるだった。が、リクエストはしっかりしておくものだな。
不潔なぬるぬるするその部分をぽりぽりと指でかいてやると、親父の小太りの体がふうっとくつろいだ。
「気持ちいいですかあ?」
「うん…。ありがとう。」
ケツの穴を他人にかいてもらって気持ちよくありがとうを言う親父なんて、この世で最も需要が少ない存在の一つだろうな。いいぜ、俺は引き受けてやるし、お礼返しもしてやるさ。
トランクスから抜いた手を土肥の団子っ鼻まで持っていく。かいた指にはペーパーやら糞カスやらケツ毛やら、還暦親父のケツの汚い物が一通り付いていた。
「臭い?」
「うん、くせえ…。」
昭和親父の髭剃り顔がぴくぴくとするが背けたりはしない。嫌がらない土肥に見えるようにその茶ばんだ指をしゃぶる。
「しかも苦いですね。ケツのゴミいっぱい付いててエロい味がしてます。」
「ありがとう…。」
って言いながら耳から頬が赤い土肥さん。俺が褒めてるの分かってるからお礼を言うんだけどやっぱり恥ずかしいらしい。
向かいのドアが閉まりそうだ。
「じゃあ、指から入れますね。」
「うん…。入りそうだったら2本から頼むよ。」
はいはい。毎日突っ込んでかき回してあげてるんですから2本なんか最初から入りますよ。俺は特に気も遣わずぬぶっとお望みの2本を突っ込んだ。
さあ、これからまた還暦の穴を責めてやる。30分もあるから土肥の奴、3回は大きなオーガズムに達するだろう。昨日もそうだったように。
長年の会社勤めに飽きてきた企業戦士に出勤前のちょっとした刺激を。俺は直腸の中に残っている軟らかい下痢のカスをかき集めながら、今朝もケツが臭い土肥二郎60歳の体をどのように悦ばせるか思案を巡らせた。