ラガーマンたちの練習は正午に終わった。
「椅子はそのままでいいですよ、ワシが片付けますから。」
ラガーシャツにラグパンの男たちが「お疲れ様。」と口々に交わしながら解散していった。
古賀はワシの顔をあまり見ないように努めていたが、「じゃ、またの。古賀くん。」。
ばん!と尻をたたいてやった。
指を割れ目に食い込ませると、古賀は慌ててワシから離れた。
権藤はぶらぶらと歩き去っていった。
どのパイプ椅子に誰が座っていたか、ワシには分かっている。
倉庫に運び込むと、まず古賀のを広げて座面に鼻をこすりつけた。
「おお、くせえ。」
尻を軽く拭くだけとあって、古賀が座った後の椅子はウンコ臭い。
40代にもなって椅子をこんなに臭くしおって。恥ずかしいのう。男臭いのう。
だが、もっと上が居る。ワシは権藤のパイプ椅子を広げた。
練習もせず、午前中ずうっと座り続けていたため、座面は尻汗でじっとりと濡れていた。
股側の中央に鼻をぴったり押し当てて、空気を吸った。
「ううっ、くっせえ。監督、くせえなあ。」
座面は見事に下痢臭かった。
50代にもなって、椅子をこんなに下痢臭くしやがって。
ガキみてえじゃねえか。いや、ガキだってここまで臭くはならんだろうよ。
ほとんど尻を拭かない権藤にしか作れない臭い椅子を、くんかくんかと嗅ぎ回した。
古賀の椅子と嗅ぎ比べてみても、もちろん古賀も臭いのだが、権藤は比べ物にならないほど下痢臭かった。
二人の親父ラガーマンの臭い尻の匂いを楽しむ。
ワシの至福の時間。管理人は得じゃなあ。
尻の臭い九州男児はたまらんのう。
「何か落ちてるのか?」
野太い声にぎょっとしてドアに目をやると、権藤の巨体が立ちはだかっていた。
ちょうど権藤の椅子を夢中で嗅ぎ回していたところだった。
「忘れ物かな?」
ワシも質問で返す。いつから見ていたのだろうか…。
「ああ。タオルをなくしちまってな。芝生に落ちてなかったから椅子にかけたかと思って、見に来た。」
「いつも汗を拭いとるタオルか?椅子にはかかってなかったぞ。そのカバンの中は確かめたのかね?」
立ち上がりながら尋ねる。権藤は椅子とワシを見ている。
「カバン?」
がさごそと漁る。そして。
「おっ、あった。」
あっさり見つかった。引っ張り出してみせる。
「首にかけてねえと忘れちまうぜ。今日は暑くねえから、椅子に敷いて座ってたんだ。それでカバンに入れちまったんだな。」
タオル越しだったのか。こんなに臭い椅子なのに。
権藤の尻の下で半日敷かれていたタオル、いったいどれだけの臭さであろうか。
「嗅ぐか?…じいさん。」
ゆっくりと、巨体が近づいてきた。ワシは動けなかった。
尻汗でぐっしょりとなったタオルが顔に巻き付けられ、ワシの口と鼻を完全に覆った。
「ううっ、くせえ…下痢くせえ…すげえ、くっせえよお…!」
「俺の椅子、くんくん嗅ぎ回して。うれしいか?変態じいさん。」
荒い鼻息を止められない。期待を上回る尻の匂い。このタオル、臭すぎる。鼻がもげそうだ。
「どんぶりに俺の名前、でかでかと書きやがって。俺の下痢糞、そんなに食いてえか?変態じじい。」
「は、はい…権藤さんの尻の穴なめたい、穴から下痢糞食べたい、便器にしてくれ、頼む…。」
下痢臭いタオルをふがふがと嗅ぎながら、うわごとのように欲望をひたすらつぶやいた。
「男臭い監督の尻の匂い嗅ぎたい、汚い穴なめさせてくれ、屁も嗅がせてくれ、鉄の牛の下痢糞も芋糞も腹いっぱい食わせてくれ、頼む…。」
臭いタオルに悶えながら懇願する。
手を伸ばして紺のラグパンに触れ、ばんばんに張り出した尻に指を這わせる。
深い割れ目を探ると、奥に指を食い込ませていった。
鉄の牛の、穴の周辺の体温が指に伝わる。
「ここから出る臭い下痢糞、鉄の牛の下痢糞、食わせてくれ、頼む…。」
ぐいぐいと穴をいじられても巨体はびくともしない。
ワシの手を振り払うこともせず、権藤監督はにやにやと獲物を見下ろすような目を向けていた。
ぶりぶりぶりぶりぶりりりりりっ!
鉄の牛の尻穴が豪快な屁を漏らし、ラグパンとワシの指を盛大に震わせた。