駐車場から出て通院先の病院まで歩いていく途中、狭い路地の自販機でお茶か何かを買おうとしてるじいさんを見つけた。
小柄ですっかり禿げ上がった頑固そうな老人だ。禿げてるのが俺のタイプ。それに加えてじいさんのグレーのジーンズは遠目にもかなり履き古されている感じで、いかした模様だったのが所々劣化してくたびれた汚れになっていた。
臭そうだな。俺はさっと路地に入って、じいさんが飲み物に目をしょぼしょぼと近づけて買う物を探している間にグレーのジーンズの後ろにしゃがみ込んでケツの匂いを嗅いでみた。
く、くせ…。ううっ、くせ…。汚れてるなとは思ったがジーンズはやはりくたくたに履き古されていて、土臭い生地のそこらからなんとも言えないすえた老人臭がしてやがる。
冗談なんかじゃなくマジで30年とか履いてそうな汚れジーンズだ。俺も人のことは言えねえけど、だいたい若い頃のファッションのまんま年取るんだよな。だからジーンズじいさんはうまそうだって思ったんだがケツも臭くてどうするんだこれ。
独居なんだろうか。風呂もめんどくせえんだろうな。くせえよ、あんたのケツ。ぷんて湿った、ちょっときついのが匂ってるぜ。
午前中のこの辺りはほとんど人は通らないから、くんくんと75歳くらいの親父の貧相なケツを嗅いでしまう。こういう臭いじいさんを待ってたぜ。今日はいい日だ。
湿ったケツ臭は何日もウンチの筋がパンツに染みついちゃった匂いかな?それとも、年取って下半身が緩んで勝手に屁が出ちゃうせいかな?なめてえ、じいさんのケツ。糞付きか、屁の残り香か、確かめてえ。
がこん!愛しいじいさんがボタンを押して飲み物が降ってきた。ああ、もう時間切れか。
じゃらん、じゃらん、じゃらん、じゃらん、じゃらんじゃらんじゃらんじゃらん。じゃらんじゃらんじゃらんじゃらん。
おいおい、つりがやたら落ちてくるじゃねえか。千円札入れたな?へへ、ケツ嗅ぎタイム、もうちょっとありそうだぞ。
じいさんが飲み物とつりを取るのが分かっているから俺は一歩半下がって突き出されるケツを待った。ほら来いよ、俺の鼻はここだぜ。
ぐん、とグレーのケツが迫る。谷間の上を走るジーンズの縫い目に鼻の頭の照準を合わせてあるから、あとはじいさんがケツを突き出すだけ。臭いケツのほうから鼻を吸い寄せに来るように、若い俺の鼻は70代親父のくたくたズボンの深いところにすーっと収まった。
ぐっ、こりゃ下痢だ!くっさ…!中腰になって開いたケツの谷間の中で鼻がジーンズの縫い目にこつこつ当たる。
縫い目からもくせえが、縫い目の両脇を嗅ぐ左右の鼻の穴に老人の下品な下痢臭が直に流れ込む。じいさんのケツ毛の生えてる辺りを嗅いでるんだろう。くせっ、これは屁の残り香じゃない。ケツ毛にも穴にも下痢のカスが付いていやがるな。
喉を潤そうと自販機で飲み物買ってるだけの小柄な親父が、ケツの匂いを嗅がれるとも考えずに無防備な体勢で後ろにケツを突き出し、しかも臭いときたもんだ。飲み物を取りながらつり口の蓋を開けた。次の瞬間。
じゃららららあっ!
「ああっ!こらこら!」
どうせ若いのを自己都合で叱り飛ばして生きてきたんだろうなと思わせるひどくとんがった声を上げて独りでテンパるせっかちなじいさん。百円と十円しかなさそうな大量のつりを片手で取ろうとしたらそりゃ盛大にばらまくわな。
おかげでまだ老人の鋭いケツ臭を楽しんでいられる。俺はもう半歩下がった。ほらしゃがめ。しゃがんだら下痢付きじいさんのケツの穴んとこを手で触ってやる。
が、下痢付きじいさんは腰が痛いのかせっかちだからなのか中腰のままで地面からつりを拾い始めた。またもジーンズの谷間が鼻を吸い寄せに来る。どうぞ、お願いします、と差し出した鼻はより左右に広がったケツの割れ目深くに完全に収まった。
くうう、はああ、くうう、はああ。下痢臭いケツ穴にぴったり密着した鼻から息を吸い、口から息を吐く。いや、下痢臭を吸い下痢臭を吐くが正しいな。くせえ、んぐう、くせええ。
貧相だった老人のケツは深く中腰になったことでケツ肉が横にぐっと張り出して、小さくても結構見栄えのするプリケツになった。エロいぜ。その縦溝の真ん中がくせえ。鼻だけで70年物の高齢ケツ臭を空気として吸わせてもらえる至福の時間が来た。
穴は下痢臭メインだがケツ毛のある両脇は毛の中から乾いた糞カスの匂いもしているのが確認できた。ペーパーのカスかもな。鼻くっつけて長い時間嗅いでたらいろんな発見があるもんだ。じいさんの苦い人生、そして普段の不機嫌な生活にも思いをはせる。つりを拾いながらぐっぐっと谷間を押しつけてくるからじいさんの苦そうなケツ臭が「しばらく思い出して暮らせ。」と言ってるんじゃねえかと思うくらいにしつこく鼻の粘膜を喜ばせる一方だ。
まだかよ、じいさん。俺はまだでもいいけど、つりを拾うのにだいぶ手こずってるようだ。こらこら、って毒づきながら結局1枚ずつ探して集めてるらしい。
こらこらはこっちの台詞だっつうの。くせえよ、下痢くせえよ。ちゃんと拭けよ、っつうか拭いてるけど穴が緩むからウンチの残り汁が出てきてパンツに付いちゃうのか?恥ずかしいっていうよか俺的にはちょっと心肺してしまうぜ。
ひっぱたいて嗅ぎまくりたい不機嫌親父のケツを、ひっぱたく代わりに両手でがしっと押さえて深呼吸で嗅ぎまくった。じいさんも気づいてないし人も通らないから町の誰も気づかない。はたから見たらものすごく異様で変態な構図だ。それが二、三分は続いた。
主に湿って下痢臭い親父穴の汚れた匂いを若い男の鼻面にたっぷりなすりつけてから老人は立ち上がった。ああ、臭かった…。
「百円、落ちてますよ。」
俺が拾うふりをして何枚か差し出すと、じいさんは年寄り特有の表情で口をもごもご動かしながら無言で硬貨を受け取った。不審そうな目つきは癖なのか、つりが多すぎるって思ったかは分かんねえな。
「お茶の蓋、開けましょうか?」
「いい。」
すげえ迷惑そうににらまれた。ケツ嗅ぎすぎたもんな。ごめんごめん。
俺、じいさんの湿った下痢カスと乾いた糞カスがくっついたスケベなケツ毛のこと、じいさんが死んでもずっと忘れねえ。頑固そうなかわいい顔しやがって、今度会ったら尻臭パンツ嗅いで嗅いで下痢付きのケツ穴に舌ねじ込むぞ。くせえケツなめまくって、あんたを孤独から解放してやる。
(完)