「こら、犬塚。何やっとるんだ。席に戻りなさい。」
びっくりしてる。フロアに人が居るから、でかい声で叱れないのは分かってるんだ。
とがめるような小声で俺の手をケツから引き離そうとしている。すげえ強い力だけど、俺も負けじと食い下がる。
「餌付けしてくださいよ。俺、雷電部長のウンコが食いたいんです。お願いします。」
「いいから席に戻りなさい。早く資料を作らないか…。」
大声で叱り飛ばせないいらだちが小声の中に含まれてる。俺は、デカケツを揉みしだく両手を払われながら、それではとベルトに手をかけた。でかい熊の汗が染みて革も固くなった何年か物のやつだ。
「資料作ったら餌付けしてくれますか。俺もう腹ぺこぺこです。」
部長がベルトから手を離させようと太い指を絡ませてくる。俺は外されまいと椅子の背もたれに親指をかけて手を固定する。そのうえ両手でぐいぐいベルトを引っ張った。
「気でも狂ったのか?資料を作るのがお前の仕事だろう。いいから仕事をしなさい。」
「俺は気が狂ったんです。俺は雷電部長のウンコを餌付けしてもらえないと気が狂ってしまう変態犬塚なんです。」
そう言い捨てて両手を部長の腰から外すと、俺は席に戻った。
やった!「犬塚」って呼んでくれた!「お前」って呼んでくれた!
最後の言葉に雷電部長は何も言い返さなかった。俺が手を離したからかもしれないが、ただ言い返せなかったのかもしれない。まだ態度はよそよそしいけど、いつもの部長の迷惑そうな赤ら顔を少しだけのぞくことができた。
それから、俺は何回も資料を破り捨てられた。
「ワシをバカにしとるのか、犬塚。これで通らないのはお前も分かっとるはずだぞ。」
部長の顔がのぼせたように赤い。俺のふざけた資料に混乱して頭に血が上ってるんだ。
「だって、雷電部長が餌付けしてくださらないからですよ。あんなに毎日食べさせてくれたのに。俺は部長の犬っすよ。」
「今その話はやめろ。今日中に仕上げんかったら居残りさせるからな。まともな資料を提出しろ。」
俺は席に着いた。よし、雷電部長に自分は部長の犬だってこと伝えられたぞ。もう部長に話しかけるのが怖くなくなった。
どんどん赤くなってて怖い顔の親父。どんどんいつもの雷親父になっていく。ああ、やっぱり超こええけど、この厳つい顔が好きだ…。
部長が席を立って廊下へ消えた。フロア内の目線を確認して、素早く座布団の匂いを嗅ぐ。うおっ、くせえ。ヤベえくらいくせえ。
俺は廊下へ急いだ。部長は給湯室で独りコーヒーをいれている。
俺はさっと後ろに近づき、肉付きのいいデカケツを両手でむんずとつかんだ。この殺人級の激臭デカケツめ。
「部長の座布団マジで臭いですね。この臭いケツ、俺に嗅がせてくださいよ。」
ぎょっとして後ろを振り返る雷電部長の耳元に口を付けてはっきりと言う。
「俺、部長が好きでたまりません。部長のケツがなめたくて仕方ないんです。」
「…部長って、段原の間違いじゃないのか?」
「雷電部長です!そんなふてくされないでください!昨夜は俺の過ちです。謝ります。」
「謝ってもらっても困る。段原と楽しんだんだろ?」
速攻の返し。雷電部長って意外と根に持つんだな…。
「楽しんでしまいました。だから今こうして部長のケツを追いかけてるんです。」
そこで杉本先輩が廊下からこっちにやってくるのが見えた。俺はデカケツから手を離した。雷電部長は無言でコーヒーをいれていた。
定時後、俺はそれまで頻繁に資料を提出しがてら部長のケツを揉みまくっていた行為をぱたりと止めた。
お疲れ様です、とフロアからどんどん人が居なくなる中、俺はしぶとく席に座っていた。雷電部長も隣で黒い山になってじっと座っている。いつの間にか、お互いに根比べしてる状態になった。
完成した資料は書類の一番下に隠してある。帰さない俺と、帰れない部長。まあ、部長はやることが山ほどあるから、相変わらずPCのキーボードをばしばしたたいている。と思っていたら。
「犬塚、まだ終わらんのか。」
しびれを切らして立ち上がり、俺の席までやってきた。すかさず俺は雷電部長のケツを撫で回す。体温で温まって所々シワになってるズボンの面にぞくぞくしながら割れ目に沿って指を食い込ませる。
「部長こそ、まだウンコしないんですか。俺、早く餌付けしてほしいんですけど。」
「ふざけるな。資料、もう出来ているんだろう。見せなさい。」
書類の山に手をかけようとした部長。俺はその手の下に自分の手を滑り込ませた。二人の手が重なる。雷電部長の毛深い手がすげえエロい。
「まだです。」
俺は割れ目に食い込ませた指を奥のほうでぐいぐい動かした。雷電部長の全身が一瞬ぴたりと静止して、うっ、と小さくうめいて顎をのけぞらせた。俺は手の匂いを嗅いだ。
「くせっ。雷電部長のほうは出来上がってるみたいですね。二人きりになったら、今のをパンツの中に手を入れてやってあげますよ。資料見せますから、その間ケツの穴に指入れさせてくださいね。」
雷電部長は信じられないといった表情で口をあんぐり開けたまま自分の席に戻っていった。俺はギンナンみたいにふくよかで熱のこもったケツの匂いをしばらく楽しんだ。ヤベ、これ、くせ…。ああ、早く指入れてえ!
杉本先輩が退社して、ついにフロアには俺と雷電部長だけが残った。夜の8時だ。
俺は雷電部長が怒鳴り出すより先に席から立って隣の部長の席に回り込んだ。
「資料出来ました。雷電部長も立ってくださいよ。ケツの穴にずっぽり指入れてあげますから。さあ、立って。」
こんなぞんざいな言い方をしたのは初めてだ。今度こそ思いっきりぶん殴られるかと覚悟したが、部長の目を見て俺は雷に打たれてしまった。
どろんと力のない目。性欲をくすぐられてどんよりと濁った56歳の熊親父の目。口髭までぴくりとも動かさないで石のように無言の熊親父。
熊親父がゆっくりと椅子を引き、俺の言うとおりに席から立ち上がった。座布団とズボンの間で湯気が立つ。
俺は上司の毛深い手に完成した資料を押しつけながら、温かいデカケツを撫で回すと、ベルトの内側に強引に手を入れてトランクスのゴムを手探りした。